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放射温度計測定の落とし穴

みなさん、こんにちは。第一技術部 構造設計課の中村です。

私はCAE解析の中の熱流体解析を担当しており、電子機器における熱課題の抽出や、解決策の検討・提案などを主な業務としています。今回は放射温度計を用いた温度測定の落とし穴について説明します。

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ここ数年で各施設の入り口などに体温計が置かれているのをよく目にするようになりました。それは放射温度計(サーモビュワー, サーモグラフィーなど)とよばれるもので、額や手首などにかざすだけで体に直接触れることなく体温を測定することが可能であり、感染対策にも優れたものです。

放射温度計は非接触でリアルタイムに温度を確認できるため、電子機器の温度分布確認などにも使用されます。

 

しかし、放射温度計は正しく測定しなければ、実際とは異なる温度を表示されます。

放射温度計は物体から発せられる赤外線量を測定し、そこから温度を算出します。

 

 

また、赤外線量はその物体表面の放射率※に依存するため、温度が同じでも表面状態の違いにより異なる温度が表示されることがあります。

※放射率(ε):物体からの赤外線放射のしやすさを0~1で表した数値

ε:放射率

M:黒体の放射発散度

M’:物体の放射発散度

 

例として、室内の机に放置しているラジオペンチを放射温度計で測定した結果を見てみましょう。(放射温度計は色の変化で温度分布を示します)

 

 

机の周囲は室温で一定となっており、机やラジオペンチに温度差はないはずですが、放射温度計は異なる温度(色)を示しています。

物体は材質や表面状態によって放射率が異なり、同じ温度でも各部から放射される赤外線エネルギーの量が異なります。放射温度計は、その赤外線エネルギーを設定した放射率から温度に換算して表示しているため、温度(色)が異なっているように表示されます。

そのため、正しく温度を測定するためには適正な放射率を設定する必要があります。また、適正な放射率設定であるかは熱電対による温度測定などを組み合わせて測定する方が望ましいです。

このように適切な方法で測定しなければ、正しい温度が測定できないという落とし穴があります。

 

当社では、CAE解析(熱流体解析)だけでなく温度測定も行なっており、今回紹介した放射温度計や熱電対での測定など、様々なノウハウを有していますので熱問題でお困りのときは是非ご相談いただければと思います。

 

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