みなさんこんにちは。第一技術部の赤谷です。
前回の「その特定小電力無線機の通信距離もっと延ばせるかも!(その1)」に引き続き、通信距離改善策の第二弾です。
前回は、フレネルゾーンとの関係からアンテナの設置高を見直すことで通信距離を延ばすことができることを紹介しましたが、今回は妨害波に対する対策について考察してみたいと思います。
妨害波と言っても日本の電波使用に関しては総務省が細かく割り当てを決めているため、違法な電波でない限り、920 MHzの特定小電力無線機に対して直接妨害を与えるような電波は存在しません。
しかし場合によっては、920 MHzの特定小電力無線機が使用する周波数帯域(915.9MHz 以上916.9MHz 以下及び920.5MHz 以上929.7MHz 以下)以外の電波が妨害波となることがあります。何故でしょうか?
それはアンテナ入力回路に使用されるLow Noise Amp(LNA)の特性によって発生する3次相互変調歪み(IM3)に起因して発生しうる現象なのです。
下図を用いて解説します。携帯電話などで利用される860 MHz、890 MHzに妨害波となる電波が存在するとします。この電波がそのまま、アンテナ入力回路のLNAに入力されると、IM3が830 MHzと920 MHzに発生します。
この状態では、920 MHz特小無線機のキャリアとIM3が完全に干渉するため、受信性能は著しく低下し、通信距離が極端に短くなってしまいます。
このような場合の対策としては、LNAの前に妨害波となる電波をカットするSAWフィルタなどを入れることなどが考えられます。
どうでしょうか。対策のヒントとなりましたでしょうか?
実際の無線機器の開発では、この他にも検討すべきことは山のようにあり、ノウハウが必要となります。また、アンテナや高周波回路の評価に必要な設備は非常に高額であり簡単に用意できるものではありません。
当社は長年これら無線機開発に携わってきたことで、必要な設備とプロの高周波設計部隊が揃っております。無線機開発でお困りの際は、当社の「高周波(RF)・無線 設計受託サービス」を是非ご利用ください。
また、無線機の評価を行うには技術基準適合証明(技適)が必要です。申請のご経験が無く対応にお困りのお客様については、当社の「電波法認証 技術基準適合証明(技適)の事前評価・申請代行サービス」をご利用ください。
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