みなさん、こんにちは。WTI 電源設計課の今井です。
前回は『電源回路とフィードバック制御』についてお話しさせていただきました。比例制御を用いると制御対象の特性のバラつきの影響を小さく抑えることができましたが、目標値と出力の間に誤差が残ってしまいました。
今回は、ある程度時間が経過した後の誤差(定常偏差)をできるだけ小さくする方法についてお話ししたいと思います。
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比例制御では十分に時間が経過した後の出力は一定のままとなり、出力と目標値の間に誤差が残ります。
図1 比例制御の出力波形
もし、この誤差の時間積分に比例した値で出力を制御するとすればどうなるでしょうか。
誤差が長時間続く場合は誤差の時間積分はどんどん蓄積され、操作量が次第に大きくなります。その結果、出力と目標値の誤差が徐々に小さくなっていきます。
このような制御を積分制御と言います。
図2 積分制御の出力波形
しかし、積分制御だけでは誤差を蓄積するのに時間がかかってしまい、応答性が悪くなってしまいます。
そこで、前回の比例(Proportional)制御と今回の積分(Integral)制御を組み合わせることで、応答性を維持しつつ誤差を小さくできるように改良した制御がPI制御です。
図3 PI制御
図4 PI制御の出力波形
PI制御では誤差と応答性を改善することができますが、応答性を高くし過ぎると安定性が悪化し、目標値を行き過ぎるオーバーシュートや出力が目標値を挟んで上下するハンチングが発生する場合があります。応答性を高めつつ安定性を確保できる制御についてはまたの機会にお話ししたいと思います。
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