皆さんご無沙汰しております。第一技術部光デバイス設計課の日野です。
前回のブログで紹介した取り組みと似た事例となりますが、今回もお客様のお困りごとを解決するために、ゼロベースから開発した半導体製品用の回路基板を紹介します。
今回の事例は、“突入電流によるデバイスの偶発破壊をなくしたい”とお客様から相談を受け、当社で提案したものです。先ず、故障原因を究明するため、お客様の装置を詳細に調査したところ、装置に備わっている過電流制限機能に関して、低速のDC電流変化にしか保護機能が働いていないことが判明しました。
そこで、高速のDC電流変化に対応できる電気回路を設計しました。
図1はプリント基板化前に事前検討するための試作基板です。机上計算だけでは誤差があるので、目標サイズのブレッドボード上に、表面実装タイプの能動部品を使用して、手作りで試作しています。
図1 試作基板(事前検討用)
簡略図となりますが、図2に回路基板の構成ブロックとお客様の試験系への接続構成を示します。
今回の回路基板は、お客様のテストデバイスと電源装置との間に挿入し、突入電流(以下、サージ)によるデバイス破壊を防止する過電流保護機能を備えた機能性回路基板となります。
図2 回路基板構成ブロックと試験系接続イメージ
今回設計した回路基板は、図3に示すようにピーク電流2Aのサージ波形モデルに対して、過電流保護タイミングを検出後約20μs後に調整を行い、ご提供させていただきました。結果として、本回路基板によりデバイス破壊の防止ができたとの朗報を賜りました。その後、フィードバックいただいた情報を基にブラッシュアップし、最終形態としてプリント基板化を行い、製品を納めることができました!(毎度すみませんが、プリント基板完成品や最終形態は割愛させていただきます。)
図3 過電流保護のタイミング例(ピーク電流2A)
当社では、お客様のご要望に応じて、高速のDC電流でも機能する光学式のリレー回路を組み込んだ保護回路や低電圧/電流で機能する保護回路などの設計および製作も行っております。
もし、サージ対策やESD対策でお困りごとがあれば、お気軽にWTIまでお問合せください。
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